どこにでもいますよね?
上手にサボる人が。
その姿を見ると、一生懸命仕事をしている人は腹が立ちます。
時には上司に対して、「ちゃんと働かせてください」なんて怒る人もいて、火の粉が飛んできたり。
「さあ、困った」と思うわけですが、サボる社員やサボるスタッフをどのように指導しましょうか?
まず、サボる社員やサボるスタッフを「叱ること」で変えようとするのはやめておきましょう。
反発されるか、不満を溜め込むか、どちらかです。
「えっ!サボっているのに叱られたら怒るってなんやねん!」
そう思われたかもしれませんが、実際叱ってうまくいくことなんてほとんどありません。
サボってる人を叱ったら働き者になる!なんてことがあるなら、今ごろ日本中の企業が恐ろしいほど生産性が上がっているはずです。
そもそも、サボる社員やサボるスタッフはズルい人ではありません。
要領の良い人です。
仕事をさせれば割とサクサク仕事を進めていくタイプです。
さっさと仕事をして上手にサボる、上手に消える、そんな要領の良さを持っています。
サボっている人に話を聞くと、多くの人が「サボっていない」と答えます。
これはどういうことでしょうか。
彼ら彼女らは、割り当てられた仕事をサクサクっとこなして、終わったら他ごとをしているタイプです。
自分の仕事が早く終わったから他人の仕事を手伝おう、みたいな感覚はありません。
割り当てられたことをやるが、割り当てられていないことはやらない。
そういう人はサボって見えます。
一方、サボらない社員、サボらないスタッフに見える人は、要領の悪い人が多いのです。
自分の仕事をそっちのけで、他者の仕事を手伝っていたりもします。
現象だけを見ると、あの人はサボっていて、あの人はサボっていないように見える。
でも、完了した仕事ベースで見ると、さほど違いがないなんてことが多いわけです。
「見えてる世界」は感情ベースですから、一度「あいつはサボりやすい人間だ」と思うと、一時が万事サボっている人に見えてしまいます。
でも、事実ベースで見てみると、案外仕事が早い人間だったりもするわけです。
だから、「サボるなよ!」って言われて「サボってねーよ!」って反発されることもあるわけでして。
で、ここで一計。
卒業式や入学式で体育館に椅子を並べる仕事を子どもたちにさせます。
「さあ、みんなで並べよう」なんて指示を出すと、要領よくサボる人間が出てきます。
「早く終わったら、早く部活に行けるよ」なんて言うと、彼らも急いで働きます。
ところが、椅子はぐちゃぐちゃ。
「とりあえず並べれば良いでしょ?」って感じで乱雑に並べます。
それで後から「椅子はきれいに並べましょう」なんて言ってタスクを追加する。
すると、彼らは「話が違うじゃないか」と反発します。
では、どうすれば良かったか。
まず、ゴールを明確にします。
「式典ですから、一糸乱れず椅子を並べてください」
そのうえで、「早く終わったら、早く部活に行けますよ」と伝えるわけです。
チームでタスクをクリアしなければならないとなれば、要領の良い人もサボるわけにはいきません。
個人戦で早く終わったら他者を助ける、というのは要領の良い人には苦痛です。
それならば、早く仕事をするだけ損をします。
むしろ、ゆっくりやって手伝ってもらった方が得をします。
だから、上手に手を抜きます。
サボる人がいるときは、その人を指導するのではなく、なぜサボることが成立してしまうのかに目を向けたいわけです。
サボっても回るようにできている。
その組織の体制の方に問題があるのかもしれません。