なぜ他者を理解するためには、モノサシとなる指標が必要なのか。

弊社開発の人事分析アプリCrewDocks®︎では、ユーザーの登録情報をもとに簡易診断を行い、その分析データをもとに他者とどう関わるかを分析しています。

僕はこの診断結果を「他者を理解するモノサシ」と表現しています。

人間が下すあらゆる評価は相対評価です。

何かと何かを比べて評価をしています。

食べログでは☆を5つ付ける人もいれば、☆を1つしか付けない人もいます。

☆5つの人の味覚はおかしく、☆1つの人の味覚が繊細なのかというと、そうとは言えません。

日頃、その人が口にしている食事の味と比較して☆を付けているに過ぎないのです。

ですから、☆が5つ付いていても、それほど美味しいと感じないことがあっても仕方がないのです。

以前、宿泊場所を探してホテルの検索サイトを眺めていたときのこと。

口コミには「とてもきれいで最高でした」と「他の人が朝からガサゴソと音を立てて最悪だった」という意見が書かれていました。

僕が見ていたサイトはドミトリーだったんです。

1つの部屋に二段ベッドがいくつか入っていて、知らない人と共に過ごすドミトリーです。

ですから、ドミトリーという場所に泊まったことがある人でしたら、「他の人が朝からガサゴソと音を立てる」というのはよくある話で、それほど腹を立てる事象ではありません。

また、ドミトリーは場所によっては共同生活である以上、清潔感を欠くこともありますから、「とてもきれい」というのは最高なのかもしれません。

つまり、ありとあらゆる評価というものは、常に相対評価なのです。

中国の思想家である老子も「長いがあるから短いがあって、高いがあるから低いがあって、前があるから後がある」みたいなことをおっしゃっています。

何千年も前から、世界は常に相対的な評価の中で、あれは良いとか、これは悪いとか評価してきたわけです。

さて、人物を評するとき、つまりはその人のキャラクターを分析するときも、指標となるものが必要なのです。

例えば、「あの人は面白い人だ」と言ってみたところで、その人が本当に「面白い人」であるかはわかりません。

僕もよく「面白いね」と言われますが、明石家さんまさんのようなお笑い芸人さんに囲まれていれば、おそらく「あんまり面白くないね」と言われるでしょう。

それはそうですよね。

だって、僕らの評価はいつも相対評価だからです。

人間のキャラクターを分析するときも相対的な評価を下しているに過ぎないってことです。

AKB48の女の子たちは、選挙で投票され、ファンの間では「あの子はかわいい」「あの子は可愛くない」みたいな言葉のシャワーを浴びているわけですが、彼女たちが普通に会社や教室にいれば、おそらくダントツで可愛くて目立つ存在になるはずです。

あの中にいるから、可愛く見えなかったり目立って見えなかったりするんですね。

ですから、フラットに人間を眺めてみて、人を的確に分析する、つまり絶対評価的に人を分析するなんてことは恐ろしく困難なことなんです。

そこでモノサシとなる指標が必要となります。

指標となるモノサシがないと、相対評価ができないのです。

人間の「ものの見方や考え方」は目には見えません。

「あの人が好き」「あの人が嫌い」ということも目には見えません。

どんなサポートが必要か、どう関わってもらえたら力が発揮できるかは目には見えません。

人間関係を難しくしているのはこの、目に見えないことがあまりにも多いからなんですね。

それを解決するのは、コミュニケーションです。

「私はこう考えています」

「私はあの人と組むと気持ちが前向きに取り組めません」

「私はこんなサポートを必要としています」

「私はこう関わってもらえた方が力を発揮できます」

こういったことは伝え合わねば伝わりませんが、わざわざ伝えることはしません。

しかし、「報連相(報告・連絡・相談)」すら億劫がり、怠る昨今です。

コミュニケーション不足は深刻なのです。

ですから、他者を理解することはさらにさらに困難になっています。

そこで「他者を理解するためのモノサシ」が必要になります。

僕らはこの「モノサシ」を基準に仮説を立てます。

「こう関わったらいいんじゃないか」

「この人が声をかけた方がいいんじゃないか」

「こっちの仕事の方が向いてるんじゃないか」

「この人と組んだら、もっと力が出せるんじゃないか」

そんな仮説をもとに「具体的な手立て」を提案します。

「この人はこんな人です」と分析することは意味のないことだと思っています。

それよりも大事なことは、具体的な手立てを示すことです。

そしたら、あとはトライ&エラーを繰り返すだけです。

うまくいかないこともある。

それでいいんです。

より良い人間関係を構築するためにはトライすることが大事。

そして、エラーから学び、改善して、新たな手立てを生み出すんです。

恋愛なんてまさにそうで、試行錯誤して意中の人の心を射止めるわけですが、そこに辿り着くまでにはいろんなトライ&エラーを繰り返しているはずなんですね。

おっと、それは余談でしたww

あくまでもCrewDocks®︎の診断は簡易分析です。

それで構いません。

人間関係において大切なことは分析ではないのです。

人間という複雑な生き物を多面的に理解した上で、具体的な手立てを考えてトライしてみる。

そのことにこそ価値があるのです。

「組織をよりよくしよう」「人間関係をよりよくしよう」という気持ちをもって他者と接すること。

それが組織において一番大事なことではないかと思っているのです。

詳しく知りたい方はLINE公式アカウントからどうぞ!

友だち追加

この記事を書いた人

くればやし ひろあき

株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

「自分で考え、自分で行動する人を育てる」をモットーに、16年間公立中学校で3,000人以上の子どもたちや若手教員を指導。当時世界最大の児童生徒数だった上海日本人学校や市内で最も荒れた中学校などで生徒指導のリーダーを務める。
独立後はその経験を生かして講演活動を行う傍ら、セミナーやコンサルティングを通して、企業や学校、チームからご家庭まで、大小さまざまな組織のマネジメントをサポート。
独自のアルゴリズムで人材分析を行う人事支援アプリ『CrewDocks®︎』を開発。
TikTokに「人間関係づくり」をテーマにしたショート動画を配信し、フォロワー数は11万人を超える。