テレワーク時代に部下や社員の心が病まないために必要なのは、一人ひとりが話をする場面を作ること

コロナ禍にが続く中の緊急事態宣言。

この流れに従って今、テレワークが推奨されています。

人と人とが物理的に距離を置くソーシャルディスタンスが一般化し、私たちは飛沫のかからない距離で他者と接することが増えました。

それは物理的なソーシャルディスタンスだけでなく、心理的な距離も生み出しました。

飲み会の自粛は、従来心理的距離を縮めるのに有効だった呑みニケーションの機会を奪いました。顔の大半を覆い隠すマスクは、気持ちを理解し合うのに必要だった表情まで覆い隠しました。

井戸端会議、給湯室の雑談は姿を消し、人間関係を深め互いを理解する機会は、どんどん減少しています。

テレワークが導入されれば、そんな人間関係を築くための余白はほとんどなくなると言っていいでしょう。

「職場の仲間」であった存在が、気がつけば「業務上の付き合い」だけ、という関係になってしまう。

希薄な人間関係が様々な問題を引き起こす昨今、現在の流れは人々をますます孤独にし、孤立化する人々を生み出してしまうでしょう。

パワハラ、セクハラをはじめとした各種セクハラ問題。

過重労働、精神疾患、早期離職。

そういった企業の抱える問題の根底にあるのは「人間関係」です。

相談できる人間関係がなかったり、気持ちを吐き出せる相手がいなかったり。

孤独が今、私たちの心を蝕み始めています。

自殺者の数が増えているのだそうです。

メディアが流す情報は、ネガティブなものばかり。

恐怖を煽り、不安な気持ちが募るばかり。

疑心暗鬼の気持ちが自粛警察を生み出し、互いに互いを監視し合う、悲しき時代になりました。

そんな時代において、私たちに必要なこと。

それは「話すこと」です。

話すことで気持ちが整理され明日への活力になる。

そんなことって誰しも経験があることだと思います。

最近はZOOMなどインターネットを介して会話するアプリケーションが一般層にまで普及しました。

第1次のコロナウイルス流行期には、「ZOOM飲み会」なるものをずいぶん見かけました。

しかし現在、そういったものを見かける機会は少なくなりました。

それはなぜでしょうか。

実はZOOMを使ったコミュニケーションは常に「1対 多」で展開されています。

常に誰かが演説をし、それをみんなで聞いている、という構図になります。

声の大きな者。

もしくは主催者など立場の強い者。

もしくは、ただの話したがり(笑)

そういった人には多く発言権があり、そうでない者はただ聞き役に徹する。

これではコミュニケーションは取れません。

「話すこと」で鬱屈した気持ちを手放したり、気持ちを整理できる。

このことを考えるならば、「一人の話をみんなで聞く」という構図になりやすいオンライン上の「会議」は、人間の気持ちに寄り添いにくいのです。

ZOOMではブレイクアウトルームという機能があります。

大人数を小グループに分ける機能です。

人数を少なくすることで、発言の機会を増やす。

そんな工夫も必要でしょう。

また、組織のリーダーは、できるだけ個々の気持ちを聞くような場面も必要だと思います。

グループ通話を活用すれば良い、ということではなく、きちんと一人ひとりが「話すこと」ができる場面を設定することが大切です。

この記事を書いた人

くればやし ひろあき

株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

「自分で考え、自分で行動する人を育てる」をモットーに、16年間公立中学校で3,000人以上の子どもたちや若手教員を指導。当時世界最大の児童生徒数だった上海日本人学校や市内で最も荒れた中学校などで生徒指導のリーダーを務める。
独立後はその経験を生かして講演活動を行う傍ら、セミナーやコンサルティングを通して、企業や学校、チームからご家庭まで、大小さまざまな組織のマネジメントをサポート。
独自のアルゴリズムで人材分析を行う人事支援アプリ『CrewDocks®︎』を開発。
TikTokに「人間関係づくり」をテーマにしたショート動画を配信し、フォロワー数は11万人を超える。