「偶然と執念が生んだ、人材分析アプリの秘密」

人材分析アプリ「CrewDocks(クルードックス)」は、単なるツールではない。
使う人の“見えない関係性”を可視化し、人間関係の質を変える──そんな不思議な力を持っています。

今回は、このアプリの生みの親であり、開発の発想から全国への広がりまでを牽引してきた弊社代表取締役の榑林寛暁(くればやし ひろあき)にロングインタビューを敢行。

もともとは中学校の先生だった榑林さんが、なぜ人材分析の世界へと足を踏み入れ、そして一つのアプリを通じて多くの人間関係を変えてきたのか──。
全3話で、その軌跡と本質に迫ります。

インタビュアー

まずは、CrewDocksを作るきっかけからお聞きしたいと思います。もともとは学校の先生をされていたんですよね。

くればやし

そうです。中学校で16年間、3,000人以上の生徒と関わってきました。生徒も保護者も、本当に多様で…正直、「万能な関わり方」なんて存在しないな、と痛感していました。

インタビュアー

「万能な関わり方はない」とは、具体的にどんな経験から?

くればやし

例えば「褒めて伸ばす」ってよく言いますよね。でも、褒められて伸びる子もいれば、逆にプレッシャーを感じる子もいる。厳しく言われて奮起する子もいれば、気持ちが折れてしまう子もいる。関わり方は一人ひとり違って当たり前なんです。

インタビュアー

その考えは、講演活動でも話されていたんですよね。

くればやし

はい。「ひまわりの種をまけばひまわりが、朝顔の種をまけば朝顔が咲く」という話をよくしました。ひまわりには支柱はいらない。でも朝顔は支柱が必要。それぞれに合った育て方があるのに、大人はすぐに「弱い」だとか「ダメだ」とジャッジしてしまうんです。

インタビュアー

印象的なたとえですね。でも、その話を聞いた保護者から、ある一言があったとか。

くればやし

そうなんです。あるお母さんが「先生、うちの子が何の花かわからないから困るんです」とおっしゃったんです。その瞬間、「ああ、関わり方を知る前に、その子がどんな特性を持っているのかがわかればいいんだ」と強く思いました。

インタビュアー

それが原点になった、と。

くればやし

ええ。そこから、生年月日から個性を導き出すコンテンツと出会ったんです。最初は「当たってる・当たってない」を競うような占い的な扱われ方には興味がありませんでした。でも、自分と相手の“違い”が見えることには大きな価値があると気づいたんです。違いが見えれば、関わり方が変わる。

インタビュアー

そしてその気づきが、後のCrewDocks開発につながるわけですね。

くればやし

はい。この時点では、まだアプリを作るなんて考えていませんでした。ただ、「違いを可視化する」というテーマが、自分の中で強く根を張った瞬間でした。

インタビュアー

そこから具体的に、どのように行動を起こされたんですか?

くればやし

最初は、この生年月日から個性を導き出すコンテンツを教える立場だったんです。でも、ある時ふと思ったんです。「この仕組みは本当に正しいのか? どうやってできているのか?」と。

インタビュアー

そこから研究が始まった、と。

くればやし

はい。データを自分で徹底的に調べました。どういう計算で分析されているのか、その結果をどう文章化し、コンテンツとして表現しているのか…。それを一つひとつ解きほぐしていったんです。半年くらいかかりましたね。

インタビュアー

半年…。かなりの根気ですね。

くればやし

そうですね。でも、やればやるほど面白くなってきたんです。そして、ようやく自分なりに納得できる“人材分析エンジン”が完成しました。これで、個性の違いを論理的に示せる仕組みができたんです。

インタビュアー

その時点ではまだ、アプリにする予定はなかったんですよね?

くればやし

そうなんです。ところが、その直後にコロナが始まって…。経済産業省が「事業再構築補助金」という制度を立ち上げたんです。一緒に仕事をしていた方から「アプリを作るなら国から補助金が出るよ」と教えてもらって、そこで初めて「実はもうエンジンはあるんです」と話しました。。

インタビュアー

それはまさに転機ですね。

くればやし

はい。話はとんとん拍子に進み、補助金も通って、アプリ開発が始まりました。でも、最初のバージョンは正直うまく動かなくて…。重いし、機能も不足していました。そこから何度も何度もアップデートを重ねて、ようやく今回、「現時点で考え得る最高の形」にできそうです。

インタビュアー

このお話を通して感じたのは、偶然と必然が入り混じった物語だということです。執念で作り上げたエンジンと、コロナ禍という予期せぬ出来事がなければ、CrewDocksは今の形になっていなかったかもしれませんね。

くればやし

本当にそう思います。自分から動いたことと、外から訪れたチャンスが重なって、流れが一気に加速しました。

インタビュアー

ここまでCrewDocksがどのように誕生したのかを伺いました。次に実際にどんな現場で活用されているのか教えてください。。

くればやし

最初は、完全に子育て講座が中心でした。お母さんたちが子どもの相談をしてくれるんですが、僕はその子に会ったことがない。それで、生年月日を聞いてタイプを分析し、「この子はこういう傾向があるから、こんな接し方がいいですよ」とアドバイスしていたんです。

インタビュアー

なるほど、それが始まりだったんですね。

くればやし

ええ。それが評判になって、「ぜひ講座で教えてほしい」という声が増えていきました。やがて学校の先生が学びに来るようになり、さらにスポーツチームのリーダー、営業職の方、経営者など…関わる人の幅が一気に広がっていきました。

インタビュアー

活用の場面がすごく多様ですね。

くればやし

そうなんです。例えば営業なら「相手に響く話し方」が見えるし、スポーツでは選手のやる気を引き出す方法が見えてくる。子育ても、マネジメントも、全部「人と人との間を可視化する」という共通の軸でつながっているんです。

インタビュアー

印象的なエピソードはありますか?

くればやし

相談に来た方の悩みを、相手が口を開く前に言い当ててしまったことがあります。「今日の悩みは弟さんのことですね」とか「義理のお母さんとの関係がつらいんですね」と。すると相手は驚いて「なんでわかるんですか?」と。僕は占いをしているつもりは全くないんですが、相手から見るとまるで占い師のように見えるみたいです。

インタビュアー

確かに、それは驚きますね。

くればやし

でも僕にとって大事なのは「当たるかどうか」ではありません。それよりも、人間関係に悩んで光が見えないときに、その人に“一筋の光”を届けること。こうやって関わったらいい、こういう声のかけ方をしたらいい――それを知るだけで、「やってみよう」と前に進めるんです。

インタビュアー

それが、CrewDocksの本当の価値なんですね。

くればやし

そう思います。相手を知り、自分を知り、その違いを理解したうえで関わり方を選べるようになる。人間関係の可能性は、そこから大きく広がります。

インタビュアー

アプリのアップデートに伴い、講座もリニューアルされると聞いていますが。

くればやし

はい。今回のアップデートを機に、講座の内容も大幅に見直しました。これまでの一括型から、ベーシック・アドバンス・マスターの3段階制に分けたんです。

インタビュアー

3段階制にした理由は何ですか?

くればやし

受講者の方を見ていると、「まずは自分を知るところから始めたい」という人と、「もっと深く学びたい」という人が混在していました。そこで、最初は自分の個性や相性をシンプルに理解できるベーシック、次に色とタイプの掛け合わせやエネルギーの構成まで踏み込むアドバンス、そしてスタイル10タイプやバイオリズムまで扱うマスターという3段階に整理しました。

インタビュアー

たとえば、ベーシック講座ではどんなことが学べるのでしょう?

くればやし

CrewDocksの基本であるα・β・Ωに加え、赤・青・黄・緑という色の違い、そして樹木や草花、山岳などの10タイプの意味を学びます。ここで「自分は何者か」「相手と何が違うのか」が明確になる。人間関係の土台作りには、まずこれが欠かせません。

インタビュアー

その先のアドバンスやマスターになると、より専門的になる?

くればやし

そうですね。アドバンスでは、赤αや青βといった細分化タイプを深く理解し、さらにエネルギーの構成要素まで学びます。マスターは、相性の複雑さやバイオリズムの読み解きまで踏み込みます。人材育成や組織マネジメントの現場で「すぐ使える分析」ができるレベルです。

インタビュアー

リーダー向けと聞きましたが、対象は経営者や管理職だけではない?

くればやし

そそうなんです。大きな組織の社長さんから、家族をまとめるお父さん・お母さんまで、「人と関わり、集団を動かす役割のある人」が対象です。担任の先生や校長先生も立派なリーダーですし、地域活動の世話役もそうですよね。

インタビュアー

受講後は、どう活かせるのでしょう?

くればやし

講座を修了すれば、自分で講座を開くこともできますし、家族やチームの診断サービスを提供することもできます。特に今回のリニューアルで意識したのは、「分析して終わり」ではなく、違いを可視化して関係を動かすスキルまでセットで身につけられること。これは他にはない強みです。

インタビュアー

形式や時間はどのように?

くればやし

オンラインと会場受講のどちらも可能です。6〜7時間×2日間が基本で、不足分はオンライン動画で補えます。分割価格なので、これまでよりも学びやすくなりました。

インタビュアー

最後に、この講座に興味を持っている方へ。

くればやし

もし「もっと人を動かせるリーダーになりたい」と思っているなら、自分や相手の違いを“感覚”ではなく“構造”で理解するのが近道です。CrewDocks講座は、そのための地図とコンパスを渡す場所だと思ってください。

編集後記

取材を終えて感じたのは、CrewDocks講座が単なる「診断ツールの使い方講座」ではなく、「人と人との関係性を動かすための“実践型プログラム」になっているということでした。


榑林さんの言葉には、長年教育や組織づくりの現場を見てきた人ならではの説得力があります。とくに印象的だったのは、「違いを感覚ではなく構造で理解する」という一言。これは多くのリーダーが“なんとなく”でやってきた人間関係のマネジメントを、一段上の精度に引き上げる視点だと感じます。

また、対象を経営者や管理職だけでなく、家庭や学校といった小さな単位のリーダーまで広げている点も特徴的です。「リーダー」という言葉をもっと日常に引き寄せてくれる発想は、多くの人にとって新鮮に映るでしょう。

今回のリニューアルで、学びやすい3段階制や柔軟な受講スタイルが整い、ハードルはぐっと下がりました。それでいて、学んだ内容は現場で即活かせる実践力に直結する。取材をしながら、「これはリーダー業に携わる人なら一度は触れておきたい講座だ」と本気で思わされました。

この記事を書いた人

くればやし ひろあき

株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

「自分で考え、自分で行動する人を育てる」をモットーに、16年間公立中学校で3,000人以上の子どもたちや若手教員を指導。当時世界最大の児童生徒数だった上海日本人学校や市内で最も荒れた中学校などで生徒指導のリーダーを務める。
独立後はその経験を生かして講演活動を行う傍ら、セミナーやコンサルティングを通して、企業や学校、チームからご家庭まで、大小さまざまな組織のマネジメントをサポート。
独自のアルゴリズムで人材分析を行う人事支援アプリ『CrewDocks®︎』を開発。
TikTokに「人間関係づくり」をテーマにしたショート動画を配信し、フォロワー数は11万人を超える。