僕にも経験があるのですが、ついつい一言、言いたくなるときってあります。
「なんでできないの?」
「何度言ったらわかるの?」
でも、この言葉、言ったところ、人は成長しないんですよね。
気分を害するか、信頼を失うか、気持ちが沈むか。
とにかく怒りに任せて、指導したところで、人って伸びないんです。
ミスをした人を叱責する。
なんだかこれってリーダーの務めのように勘違いしている人も多いのですが。
リーダーの務めは、組織の力を最大化し、最高の結果をもたらすことにあります。
感情に任せて叱りつけて「私は指導しました」みたいな顔をしている人もいますが。
それはリーダーシップでも、マネージメントでもありません。
僕らは「自分ができることは、他人もできる」と勘違いしがちです。
ある経営者さんから、「それは違うよ」と教えられました。
「自分ができることを、必ずしも相手もできるわけではない。それと同じように、相手ができることを、必ずしも自分ができるわけではない。だから、仕事はチームでやるんだよ」と。
自分にはないものを持っている人がいるから、チームは成立するんですね。
選手全員がストライカーじゃ、サッカーは勝てませんし。
全種全員がゴールキーパーじゃ、そもそも試合は成立しません(笑)
いろんな人がいるからこそ、組織は素晴らしい。
それをマネージメントするリーダーは、少しだけ耐え忍ぶ精神力が必要なようです。
とはいえ、僕らは聖人君子じゃありません。
ついつい声を荒げたくなる瞬間、ありますよね。
そんなとき、少しだけ深呼吸して待ってみる。
こういう一呼吸、間を空けるって大事なんですね。
昔、僕がサッカー部を指導していたときのこと。
試合中、単純なパスミスを繰り返す子がいました。
僕は大きな声で怒鳴りました。
「何してるんだ?集中しろ!」と。
すると、彼は集中してプレーをし、ミスをすることはなくなりました…。
なんてことはなく、余計にミスをするようになったのです。
(あれ?これって指導として間違えてるな)と思いました。
指導者や管理職など、リーダーの仕事は、組織の力を最大化し、最高の結果をもたらすことです。
僕が指導した結果、ミスが重なったならば、それはリーダーである僕のマネージメント能力が足りないということなんですね。
それで、別の日、ミスした選手にかける声を変えました。
「悪くないよ!ミスは気にするな!思い切ってやれ」と。
すると、落ち着いてプレーすることができたんですね。
叱ると萎縮してしまう。
余計にミスを誘発する。
叱咤激励だけがリーダーの声かけではないんですね。
目の前の人が伸びる声かけがあるんだな、とそのとき思いました。