離職の原因は「不満」の変わらなさにあった

欧米の人たちが「離職」をするとき、それは「キャリアアップ」のための離職が多いそうです。

新しい会社に誘われたり、やりたいことが見つかったり、内容は様々だけど、「次」が見つかってから新しい道に踏み出します。

一方、日本人の離職理由のほとんどは「不満」による離職なのだとか。

ポジティブな離職ではないわけですね。

「やりたいことがあって辞める」ではなく「嫌だから辞める」なのです。

これをもう少し、紐解いてみましょう。

組織の中で生きていれば、不満のひとつやふたつ、あって当然です。

僕も組織の中で生きてきた人間ですが、何不自由なく悠々自適、快適度100%なんてことはありませんでした。

たくさんの素敵なリーダーや仲間に出会ってきましたが、それでも不満はゼロではないのです。

ポイントは、この不満を自分でコントロールできるか、というところにあるようです。

 

 

不満が少しでも改善されると、人間は職場がよくなったと感じます。

こういう体験ができると、「では、もう少しがんばってみようか」となるのです。

 

 

男と女の関係も一緒ですよね。

不満はゼロではない。

でも、その不満が多少でも緩和されると、もう少しだけ一緒にいてみようか、となります。

一方、何も変わらないとお別れしなくなります。

そう、人間にとって心が病むのは、「不満」が定数であることなんです。

熟年離婚で捨てられる旦那様は奥様の抱える「不満」を定数にしてしまったわけです。

「あー、この人、変わらないなー」あきらめちゃった結果なんですよね。

この世界には「変えられないこと」と「変えられること」があります。

数学で言えば、「変えられないこと」は定数であり、「変えられること」は変数です。

たとえば、1日は24時間。

これは定数です。

お金持ちでも、貧しくても、時間は平等に24時間です。

大好きな人と過ごす時間が「もっと欲しい」と願ってみても、シンデレラは12時になったら帰らねばなりません。

 

一方、睡眠時間は変数です。

何時に寝るかも、何時に起きるかもコントロールできます。

そして、上手にコントロールすれば、1日の活動時間を増やすことができます。

 

 

夏休みの終わりには、誰しも「寂しさ」」を感じますね。

夏休みの期間は定数です。

でも、時間をどう使うかは変数です。

宿題をさっさと終わらせて、悠々と夏休みを過ごした人もいれば、最後の最後まで宿題に追われた人もいるでしょう。

 

 

このように、人間には「変えられること」と「変えられないこと」があります。

とりわけ組織に属しているような人は、「変えられないこと」が多くなります。

 

 

組織の中で「不満」が定数になってしまうと、人は「離職」を考え始めます。

「ああ、これって変えられないんだ」

「会社は変わる気がないんだ」

こういう経験の積み重ねなんですね。

 

 

上司がわかってくれない。

仕事がきつい。

人間関係がうまくいかない。

成果が出ない。

 

 

いろんな不満があるでしょう。

リーダーに対するもの。

会社やチームに対するもの。

それから、自分自身に対する不満もあるでしょう。

 

 

こういったものが「変わらないこと」に絶望し、人は辞めることを考え始めるのです。

逆に言えば、リーダーは「不満」を吸い上げ、少しでも「改善」することで、離職を食い止めることができます。

 

 

「辞めたい」と言い出してから、対応するのでは遅いのです。

「不満」をゼロにしなくていい。

「不満」を定数にせず、変数にしておくことが大事なんです。

 

 

完全に「不満」がなくなることはないけれど、少しは「改善」していく。

そういう経験を積み重ねると、「もう少しがんばってみるか」となります。

 

 

不満はあって当たり前なんです。

「不満を言う奴は許せない!」なんて思わないでください。

ゼロになんてできないし、ゼロにしなくていいです。

 

 

ただ、少しずつ変わっていくことが大事。

その間にどうせ新たな不満が生まれます。

でも、不満を「定数」にしないことです。

 

 

要するに放置プレーしてはいけないということですね。

組織に属する人たちの「不満」って、案外その人たちにとっては「定数」ですが、リーダーにとっては「変数」なんてことがたくさんあります。

不満をうまくマネジメントするのも、リーダーの腕の見せ所かと思います。

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この記事を書いた人

くればやし ひろあき

株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

「自分で考え、自分で行動する人を育てる」をモットーに、16年間公立中学校で3,000人以上の子どもたちや若手教員を指導。当時世界最大の児童生徒数だった上海日本人学校や市内で最も荒れた中学校などで生徒指導のリーダーを務める。
独立後はその経験を生かして講演活動を行う傍ら、セミナーやコンサルティングを通して、企業や学校、チームからご家庭まで、大小さまざまな組織のマネジメントをサポート。
独自のアルゴリズムで人材分析を行う人事支援アプリ『CrewDocks®︎』を開発。
TikTokに「人間関係づくり」をテーマにしたショート動画を配信し、フォロワー数は11万人を超える。