自分のものさしで部下を測ると衝突します。
相手の短所は自分が補って、自分が足りないところを相手に補ってもらう。お互いがそうすることで、チームとして大きな力が生まれます。
自分と異なる考え方、価値観やものの見方をする相手というのは、兎角ぶつかりやすい相手と言えます。しかし、視点を変えてその人を眺めてみれば、自分にとって新しい価値観やいつもとは違うものの見方を与えてくれる存在とも言えるのです。
上司が「この部下とは考え方が合わない」と感じるということは、部下もまた「この上司とは考え方が合わない」と感じているものです。
この世界は鏡のようなものですから、それは仕方のないことです。
管理職やリーダーであるあなたは、人間的にも仕事の力量的にも部下よりも一段も二段も上の視点でビジネスを眺めている存在です。部下にあなたと同じ価値観を望んだり、ものの見方ができるように期待したりすることは酷というものです。
特に優秀な人ほど、周りの人間が無能に見えてしまうものです。他者の処理能力を自分の処理能力を基準に比較してしまうところがあります。自分の「ものさし」で部下を測れば、その人の短所ばかりが目につきます。
意識して「良い面」に目を向けていく必要があるでしょう。
部下の欠点は「欠かせぬ点」だと理解する
そもそも完璧な人間などおりません。欠点とは、「欠かせぬ点」です。
それはちょうどパズルのピースのようなもの。凹んだ窪みが「欠点」であり、出っ張りが「長所」です。
「欠点のない人間」では組織は作れないのですね。「欠点」があるからこそ、他者の「長所」がつなぎ合わせてくれるのです。
冒頭で述べたように、組織とは短所を長所で補い合うことから始まります。その指揮棒を握っているのがリーダーであるあなたの役割なのです。
昨今、「上司と合わない」ということを退職理由にして、離職する人が後を断たないのだそうです。職場とはそもそも異なる人間同士が切磋琢磨し合う場所。合わないことはあって当然なのですが、それに耐えかねて離職してしまう人も多いのですね。
しかし、それでは採用コストと教育コストをかけてきた経営者としてはたまったものではありません。
部下が「上司と合わない」と感じているとき、上司であるあなたもまた「部下と合わない」と感じています。合わない部下に合わせていく必要はありません。しかしながら、「合わないから仕方がない」では、どんどん人が離れていくばかりです。
そこで意識していただきたいのが、その人の「良さ」に目を向けるということ。「欠点」はいくらでも目につきますが、「良さ」は意識せねば目に留まりません。
リーダーであるあなたは積極的に「良さ」を見つけていっていただきたいのです。「合わない」で構わないのです。でも、「良いところもあるな」と気づいていただきたいのです。
人間関係は「鏡」です。
上司であるあなたが「部下の良いところ」に気づき始めると、部下もまた「上司の良いところ」に気づき始めるものです。ぜひ、目の前の人の「良いところ」に目を向けてみてください。