脳の傾向が違う2人
我が家の長男くんと長女ちゃんは、真逆の価値観で生きている人間です。
それは僕が主として教えているSTR(素質適応理論)を用いて明らかになっているのですが、今日は顕著な一例をご紹介しますね。
長男くんは、「目標達成型」の考え方をします。
目標を設定すると、頭の中でプランニングを行い、目標を達成しようとします。
これを意識してやっているわけではなく、自然とそうなってしまう、脳の傾向なんですね。
逆に言えば、目標がないと何をしていいかわからなくなる。
そんなタイプです。
目標があれば、それを達成するためにモチベーションに火をつけ、目標を見失えば何をしていいのか、路頭に迷うタイプです。
一方、長女ちゃんは積み上げ型の人間です。
ある意味、行き当たりばったり。
いやいや、行き当たりバッチリ!の人間です。
目標も要らなきゃ、プランも要らぬ。
目の前にあることをこなして行ったら、あらぬところにたどり着いていた。
そんなタイプです。
職場からチームや学級まで、「やる気」を引き出すマネージメント365ステップ
「目標」という言葉の意味の違いから生まれた誤解
以前、長女ちゃんが中学生になったときの話です。初めての定期テストを前に、長男くんが尋ねました。
「お前、初めてのテストの順位は何番に入りたいんだ?」
すると、長女ちゃんは答えました。
「1番になりたい!」
それを聞いて、長男くんはアドバイスを送り始めました。
「そんな勉強法じゃダメだ」とか、「1番は無理だ」とか、「もっと勉強しろ!」だとか、ごちゃごちゃ言い始めたのです。
彼の頭の中では「1番を取るためのプランニング」が始まったんですね。
すると、長女が怒るんです。
「私、1番になるとは言ってない!」
続けて、こう言うんです。
「1番になりたい!って言っただけじゃん!」と。
長男くんは混乱します。
イライラして見せます。
「だから、1番になりたいんだろ?だったら、こういう勉強をしろよ!」
彼の脳は「目標達成脳」なんですね。
一方、長女ちゃんには、そんな要素はないんです。
「1番になれたらいいな!」なんです。
彼女にとっての「目標」は、「なれたらいいな」という「夢」のようなものなんですね。
一方、長男くんの目標は「到達目標」なんです。
為すべきこと、やるべきことなんです。
だから、彼は「できないこと」は言いません。
「できる範囲」を目標に掲げます。
だから、目標は低く設定されます。
長女ちゃんは、できもしない目標を立てます。
目標は達成できなくてもいいんです。
あくまでも「目標」、それは「夢」のようなもの。
だから、目標を高く設定されます。
これ、上司と部下に置き換えてみてください。
いろんな事故が想像できますよね。
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ドキッ!こうして人間関係はすれ違う!
長女ちゃんが上司で、長男くんが部下の場合、目標は高く設定されます。
そして、部下はできもしない目標を、(なんとか達成せねば!)と考え、疲弊していくわけです。
上司だって「できる」とは思っていない。
「できたらいいな」という目標です。
でも、部下はそれをタスクのように感じてしまうわけです。
反対ならどうでしょうか。
上司は低い目標、これならできるだろう…という目標を設定します。
でも、部下は「できなくても仕方がないよね?」って考えてしまう。
低く見積ったのに、それすらやらない部下に堪忍袋の緒が切れてしまうわけです。
脳の傾向が違うがために、こんな事故が職場やチーム、学校、家庭のそこかしこで起こっているとしたら、それは悲劇でしかありません。
人がたくさん集えば、そこにはいろんな価値観や感覚をもった人がいる。
そのことを忘れないでいたいものです。