リーダーシップのタイプを2つの指標で考えてみましょう。
1つはPerformance Function。
チームが目標を達成するために、チームメンバーに行動を促すための行動力です。
ある意味ではわかりやすいリーダーシップと言えます。
やるべきことをやらせる力です。
もうひとつは、Maintenance Function。
チームを維持していくために、チームメンバーをフォローアップしていく行動を指します。
進捗や心理状態を把握しながらケアしていくような行動ですから、これからの時代に求められるリーダー像かもしれません。
もちろん、Performance FunctionもMaintenance Functionも、どちらも高いのが望ましい。
この二つの指標でリーダーの力量を考えることをPM理論と呼びます。
とはいえ、そんな優秀なリーダーばかりではありませんから、まずはご自身はPerformance FunctionとMaintenance Function、どちらが得意かな?というところから考えてみる必要があります。
リーダーとしてうまくいかなった経験
僕が学校現場で働いていたときのお話。
小学校や中学校は「学年」というチームで動くことが多いです。
そのリーダーは、「学年主任」です。
16年間で15回、学年に所属し、自分が学年主任だったことを除けば13人のリーダーと仕事をしてきたことになります。
Performance Functionが高いリーダーのときもありましたし、Maintenance Functionが高いリーダーのときもありました。
僕は比較的、自分で考え自分で行動できるタイプの人間です。
1学期の通知表は6月末にはもうできているような先生でした。
こういうタイプだからでしょうか。
ほっておいてくれて大丈夫な人なんですね。
で、こういうタイプの場合、Performance Functionが高いリーダーの方がやりやすいな、と思いました。
手をかけてほしいわけではない。
ただ、何をすればいいかは明確に示してほしい。
「いついつまでにこれをやるよ」
「これはこうやってやってね」
目標や行動を明確に示すことができるPerformance Functionが高いリーダーだと仕事はサクサク終わります。
そのため、僕がリーダーになったとき、つまりは学年主任になったときも、Performance Function型リーダーになってしまったんです。
それが失敗の原因でした。
「いついつまでにこれをやるよ」
「これはこうやってやってね」
そう伝えれば、チームのみんなは行動すると思っていたんです。
Maintenance Functionを完全に怠っていたんですね。
チームのみんながどこにつまづいているのか。
何に困っているのか。
そういうことのフォローを完全に欠いていました。
結果、書類の提出期限が守れない、などが続出したんです。
それで僕は「なんでできてないの?」「使えねーな」と思ったわけです。
あ、もちろん心の中で思っただけです。
それぞれのリーダーが心がけることは?
でも、今思えば、リーダーとしてできることはいっぱいあったよな、と反省するわけです。
Performance FunctionもMaintenance Functionも、どちらも高いのが理想です。
でも、そんな優秀なリーダーはなかなかいません。
だから、こういう失敗は自分を戒めるとても良いきっかけになります。
Performance Function型リーダーは、ついつい「できない奴が悪い」と考えがちです。
でも、そういう「できない奴」をどう「マネジメントするか」がリーダーの腕の見せ所でもありますね。
一方、Maintenance Function型リーダーの場合、みんなのフォローアップをし過ぎてしまうことがあります。
主任がMaintenance Function型リーダーだったときのこと。
最初に決めた期限がありました。
この書類はこの日までに提出しましょう、という期限です。
しかし、その日になってもほとんどの人は提出できていないんですね。
それでそのリーダーは「提出期限を延長する」と言いました。
「できていない人」は喜びました。
「助かったー」「主任、優しい!」と褒め称えました。
ところがですね、できている人からすると面白くないわけです。
Maintenance Function型リーダーの典型は「できない人」に合わせたチームが出来上がるということです。
すると、パフォーマンスの高いチームメンバーのやる気を削ぐことになります。
つまり、Performance Function型リーダーの場合は、「できる人」に合わせたチームになって「できない人」を置いてきぼりにし、Maintenance Function型リーダーの場合は「できない人」に合わせたチームになって「できる人」のパフォーマンスが落ちていきます。
ですから、Performance FunctionもMaintenance Functionも、どちらもできる優秀なリーダーが理想なのですが、何度もいうようにそんなリーダーはなかなかいないわけです。
じゃあ、どうしたらいいか、というと、Performance Function型リーダーは「できない人」を気にかけ、Maintenance Function型リーダーは「できる人」をきちんと評価してくださいってことなんです。
Performance Function型リーダーがやっちゃいけないのは「できない人」を切り捨てることです。
一方、Maintenance Function型リーダーがやっちゃいけないのは、「できない人」に気を使い過ぎて「できる人」の評価に躊躇することです。
目標を設定し、それを達成したならば、きちんと評価をします。「できない人」だけでなく、「できる人」との対話も欠かさないでほしいのです。
そのうえで、達成できなかった人には必要なフォローをするんですね。
ただし、そのフォローは「仕方ないよ。できないこともあるよね」ではありません。
「どうすれば達成できるか」を一緒に考えることです。
これを欠いてしまうと、「優しいリーダー」ではなく「甘いリーダー」になります。
つまり、ここでいうフォロワーシップとは、最終的に目標を達成させるためのMaintenance Functionなのです。
さて、Performance Function型リーダーにも、Maintenance Function型リーダーにもオススメしている方法が1on1ミーティング。
特にPerformance Function型リーダーは、「できない人」が苦手ですが、そういう人の声に耳を傾けてみてください。
ただし、「なんでできないんだ!」と詰問しないように、ご注意くださいね。
言ってることが正論でも、パワハラにつながります。
Performance FunctionもMaintenance Functionも、どちらも高い水準で行動できるリーダーがいたら、そういう人は理想のリーダーですから、次は次世代のリーダー育成に力を注いでもらうことです。
チームづくりにおいて、リーダーの育成は常につきまとう課題です。
その課題解決を担う人材であるといえます。
リーダー不在の組織はバラバラになり若い人材が育たない
さて、Performance FunctionもMaintenance Functionも、どちらも低いリーダーに当たったときもあります。
すると、チームはバラバラになります。
「できる人」は勝手にどんどん進めるし、「できない人」は放置されてできないままです。
個々の成果にどんどん差がついていきます。
そういうバラバラのチームは、育成機能が働かなくなりますから、若い人を腐らせます。
若い人には「良き手本」となる人がどの人かわかりませんから、「できる人」「できない人」が混在すると、「さあ、一体、私は誰から学べばいいでしょうか?」となります。
僕も若い頃、こんなことがありました。
ものすごく手のかかる生徒がいました。
暴れん坊の生徒です。
先輩の先生に呼び出されて、「あの生徒に、お前はもう学校に来るな!と言いなさい」と言われました。
困惑しながら職員室に戻ると、別の先輩に「なんて言われたの?」と尋ねられました。
それで僕は正直に「あの生徒に、お前はもう学校に来るな!と言いなさい」と言われたことを伝えました。
すると、その先輩は「そんなことは絶対に言ってはいけないことよ」と言いました。
今なら、その言葉を言っていいか、悪いか、区別がつきます。
でも、右も左もわからぬ若い頃、二人の先輩に「こうしろ」「それをするな」と言われたときの混乱を想像してみてください。
そのチームは、リーダー不在と呼べるほど、リーダーである主任は何もしませんでした。
チームはバラバラ。一体感などありません。
こういうチームでは、若者は育たないのです。
リーダーの立場にある人にリーダーシップがないと、チームがチームとして機能しなくなるわけです。
では、Performance FunctionもMaintenance Functionも低いリーダーはダメなのでしょうか?
実はそうではありません。
リーダーは優秀である必要はない
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No.2を見極め育成する
もしもあなたがPerformance Function型リーダーの場合、フォローシップに優れたMaintenance Function型の人材をNo.2に抜擢します。
もしもあなたがMaintenance Function型のリーダーの場合、みんなを引っ張るPerformance Function型の人材をNo.2に配置します。
もしもあなたがPerformance Function型でもMaintenance Function型でもないのなら、簡単です。
フォローシップに優れたMaintenance Function型の人材と、みんなを引っ張るPerformance Function型の人材を活用すれば良いのです。
リーダーにとって大切なことは、チームを目標達成に導くことです。
自分自身がリーダーに向いていないと思うならば、その能力を持った人材を上手に活用することです。
パーフェクトな人間は存在しません。
誰にだって欠けた部分があります。
だからこそ、組織マネジメントは面白い。
弊社はそう考えています。
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