リーダーがつくるのはスタッフの居場所〜人が辞めない職場づくりのヒント〜

人が仕事を辞めたくなったり、学校に行きたくなくなったりするのは、どんなときでしょうか。

もちろん、その組織にいるのが辛くなったり、その教室にいるのが辛くなったりして、「辞めたい!」「行きたくない!」って思うわけですが。
では、どうして人はそこにいるのが「辛くなる」のでしょうか。

僕はその答えのひとつは、「居場所がない」だと思うのです。

必要とされていなかったり、温かく迎えてくれる人がいなかったり。
理由はさまざまでしょうが、「私がそこにいる意味がない」「私は必要とされていない」と感じたとき、僕らは居場所を失い、辞めたくなるのではないか、と思うのです。

僕は昔、大切な友人を亡くしたことがあります。
若い頃からよく顔を合わせていましたし、ある学校では一緒に仕事をしたこともありました。
本当によく子どもたちと向き合い、授業も一生懸命な先生でした。

「いい先生だな」

と心から思っていました。

でも、新しい学校で心を病んでいることを耳にしました。
そしてある日、僕のもとに訃報が届きました。

最初はメールの文面が信じられなくて、理解できなくて、僕に連絡をくれた友人に怒りすら覚えました。

翌日、葬儀で泣き崩れながら、僕は思いました。

「あんな先生でも心を病んでしまうのか」と。

何があったのか、詳しくはわかりません。
でも、思うのです。

「組織にいられなくなる」
「仕事ができなくなる」
「仕事や学校に行きたくなくなる」

これらの現象は、僕にも%LAST_NAME%さんにも起こりうることなのです。

在りし日の彼の笑顔を思い出すたび、僕は志しを思い出します。

この社会に必要のない人はいない。
みんなかけがえのない存在であり、その命をいかに輝かせるか。
これが私たち一人ひとりのテーマです。

だからこそ、すべての人に居場所となるべき場所が必要なんです。

それは家庭かもしれない。
それは職場かもしれない。
それはチームかもしれない。
それは学校かもしれない。

どこだっていいんです。

自分はここにいていいんだ。
自分は生きてていいんだ。

そう思える組織を、もっともっと増やしたい。
そんな思いでいるのです。

ある社長さんが、こんな話をしてくれました。

「僕はね、経営者として一番考えてるのは、社員にとってこの会社が居場所になってるかってことなんだよね」って。

「利益や売り上げは大事だよ。でもね、社員に喜んで働いてもらうことが一番大事なんだよね」と。

居場所をつくり、そこで生き生きと働いてもらう。
これこそが経営なんだと、お話されていました。

この記事を書いた人

くればやし ひろあき

株式会社ミナクル組織研究所 代表取締役

「自分で考え、自分で行動する人を育てる」をモットーに、16年間公立中学校で3,000人以上の子どもたちや若手教員を指導。当時世界最大の児童生徒数だった上海日本人学校や市内で最も荒れた中学校などで生徒指導のリーダーを務める。
独立後はその経験を生かして講演活動を行う傍ら、セミナーやコンサルティングを通して、企業や学校、チームからご家庭まで、大小さまざまな組織のマネジメントをサポート。
独自のアルゴリズムで人材分析を行う人事支援アプリ『CrewDocks®︎』を開発。
TikTokに「人間関係づくり」をテーマにしたショート動画を配信し、フォロワー数は11万人を超える。