人間の行動は、「きっかけ→行動→反応」で決まります。
「行動」につながらないのは、「きっかけ」に原因があります。
たとえば、スタッフが困っているとき、リーダーとしては「相談」してほしいものです。「相談」という「行動」につなげるために、「困ったら相談してね」と伝えるのですが、なかなか相談してくれません。
こんなことはよくあることです。
「相談できない」→「失敗する」という流れを見て、「相談できないスタッフが悪い」とリーダーは捉えがちです。
問題が起きたとき、「問題を起こしたスタッフ=悪い」と理解しがちですが、「スタッフが悪い」わけではなく、「問題を起こした原因」を見つけて、それを取り除いてあげればいい。
そんな風に考えてほしいと思います。
スタッフが失敗する。その原因は「相談できないこと」にあるとしたら、「相談できないのはなぜか」を考えたいのです。
ここで思い出していただきたいのが「きっかけ→行動→反応」です。
「きっかけ」が悪いから「行動」をしないのです。「困ったら相談してね」という「きっかけ」が「行動」につながらない。ただ、それだけなんです。
ですから、「きっかけ」を変えていきましょう。
たとえば、コンピュータを前にして入力作業の手が、ずっと止まっているスタッフがいるとします。本人はなんらかの「壁」にぶつかっており、手が止まっているわけです。
でも、「困ったら相談してね」では動けない。相談してこないのは、「きっかけ」に問題があるからなのです。
では、「きっかけ」を変えましょう。
「10分間、手が止まってしまったら、リーダーに報告してください」
と伝えます。これならば、スタッフは10分間、手が止まったことを「きっかけ」にリーダーに声をかけることができます。行動ができないスタッフを叱るのではなく、「きっかけ」を変えてあげるのです。
そして、もう一つ重要なことがあります。
それはスタッフの「行動」に対するリーダーの「反応」です。
「10分間、手が止まりました」
と言ってきたスタッフにどんな「反応」を示せば良いでしょうか。
笑顔で「報告してくれてありがとう」と伝え、必要なフィードバックをすれば、スタッフはまた「行動」をしようと考えるでしょう。でも、リーダーの「反応」が思わしくないものであったら、スタッフは再び「行動」をやめてしまいます。
せっかく相談したのに、適切なフィードバックをもらえなければ「行動」しなくなります。
まして、たとえば「相談」をしたときにリーダーが嫌な表情を見せるなど「気分を害するフィードバック」をしたら、「行動」はさらになくなります。
「相談しろ」と言っておいて、相談したら嫌な顔をされたりしたら、2度とその「行動」は取らないでしょう。せっかくスタッフは「行動」したのに、リーダーの「反応」で、次の「行動」につながらなくなってしまいます。
このように見てくれると、スタッフの「行動」はリーダーの「働きかけ」ひとつであることがわかります。
行動できないのはスタッフの問題ではありません。
かと言って、リーダーが問題ということでもありません。
リーダーがどんな「きっかけ」を与え、どんな「反応」を示すのかにかかっています。
うまく行かないのであれば「行動」を変えればいいということなのです。
変えられるのは「自分」だけなんですね。